「いい結婚」「やめたほうがいい結婚」とはどういう意味?

あなたが占いで聞く判断には、たいていの場合、その占い師の価値観が含まれています。

たとえば、付き合っている人との結婚を見てもらって「これはいい結婚ですよ」と言われた場合、その占い師はなにをもって「いい結婚」と言っているのでしょうか?

大きな事件は起こらずに普通に暮らしていける、という意味でしょうか? ですが、大きな事件が起こらなくても、悩みやトラブルを抱えているカップルはたくさんいます。

「普通に」という言葉も、なにをもって「普通」と言うのかは人によって違います。占い師の言う「普通」と、あなたの考えている「普通」には、「ずれ」があるでしょう。

「お互いを高め合う関係になる」という意味で、「いい結婚」なのでしょうか? 一見理想的に聞こえますが、何度も衝突を繰り返し、結果的にお互いを高め合うことにつながるという場合もあるでしょう。

占い師が「どんな組み合わせでも、結婚は修行であり学びの場である」と強く思っていれば、その結婚に問題が見えていても、それを通して本人たちが学んでいけばいいとして、特に口に出さないかもしれません。でも聞く側にとってみれば、そここそ知りたいと思っていることかもしれません。

ちょっとここから、札幌の占い師に聞いた参考になる話をご紹介します。

Hさんは、これから結婚する相手のことを占いで見てもらいました。すると、「この組み合わせには子供ができない(かなりできにくい)」ということがわかりました。

そこでこの占い師は言いました。「この人と結婚するとうまくいかない、不幸になるよ」たしかに普通に考えれば、子供ができないことが事前にわかっていたら(それが仮に本当にそうなるとして)、うれしいことではないでしょう。

ところがHさん夫婦は、はじめから子供はいらないと思っていました。これを占い師に伝えると、「はじめから子供はいらないなんて、アホな考えだ」と、キツイ言葉で延々とお説教をされたというのです。

「子供はいらない」と思うことが良いか悪いかは別にして、このふたりにとっては「子供ができない=不幸なこと」ではなかったことになります。

「どうして不幸になるのか」という部分を聞かずに「この結婚は不幸になる」と聞いていたら、誰でも憂鬱になるでしょう。占い師が「不幸」と捉えていることと、その人が思っていることは違うのです。

Hさんの場合、子供について同じように考えているふたりが好きになり、結婚することになったのですから、むしろ「滅多にない縁」とも言えるかもしれません。

「お互いにそう思っているのならばちょうどいい、よかったですね」と言う占い師もいるはずです。結果は同じであっても、両者の言い方には天と地ほど違いがあると思いませんか?

たとえば相談者が、「結婚生活では、浮気や異性関係の苦労がなによりも嫌だ」と思っていたとします。でも占い師のほうが、それをあまり重要に捉えていなかったとしたら、「モテる人というのは、それだけ魅力的でエネルギーがあるから男性としては悪くない」と言われることもあります。逆に、ものすごくそこを意識する占い師だとしたら、「絶対にやめたほうがいい」と言うかもしれません。

どちらも占い師の手元にある結果は同じなのに、です。その占い師の使う言葉によって、かなりイメージが左右されると思いませんか?

私は高校生くらいのとき母が占いに行き、いろいろなことのついでに私の結婚について聞きました。すると、「この人は結婚が遅いよ」と言われました。どれくらい遅いのか聞くと、「30歳を過ぎるかも」と言うのです。

なんだ、遅くないじゃないですか……と母は笑ったのですが、その占い師は当時70代のおじいさんでした。この方が生きてきた時代は、30歳を過ぎたら晩婚の時代だったわけです。

私はこの話を30歳に近づいた最近になってから聞きましたが、もしこれを前々から聞かされていたら、心のどこかでなんとなく気になっていたと思います。少なくとも、うれしい気持ちにはならなかったでしょう。

この占い師にしてみると「晩婚が悪い」とは一言も言っていませんでしたが、こんな些細な一言でも聞く側の意識には強烈に残るとしたら、もっと決定的ななにかを言われてしまったときの残り方は大変なものでしょう。

「占い師に言われる言葉は、必ずしもあなたの価値観と同じではない」これをよく頭に入れておくべきだと思います。その占い師が「いい」と思うなにかを選んだとしても、それはその占い師の望む人生になってしまいます。

 

「この人は結婚に向かない」はどういう意味?

Yさんは、結婚しようと思っている彼のことを見てもらい、「この人は結婚には向かない人だから、やめたほうがいい」と言われました。よく聞いてみると、「この男性には放浪痳のようなものがあるので、結婚をしてもひとつの場におさまることがなく、安定しない」と言うのです。

Yさんの彼は、仕事柄、世界各地を旅行してまわっている人です。そういう意味では、ひとつの場におさまることはなく、落ち着きもありません。でも彼の場合は、「落ち着かなくていい」ことになります。

同時にYさん本人を見てもらうと、Yさん自身も「普通の結婚には向かない」という人でした。彼と同じように、ひとつの場所で決まりきった家庭を守っていくには無理があり、常に変化を求める人だったのです。

ということは、両方ともが似たような生活スタイルを好むわけですから、「ちょうどいい組み合わせ」と言うこともできるはずです。Yさんにとって、結婚する人は、普通の家庭におさまる普通の男性では無理なのですから、今の彼は最高の人になるかもしれません。

Iさんも、自分の結婚相手のことを見てもらいました。

「この男性は、女性にたよる軟弱なところがある。なんにでも依存する性質があるので結婚には向かない」と言われましたが、実はIさんの家は、養子になってくれるお婿さんを探していました。Iさんの実家の家業を継ぎ、事実上Iさんの実家が面倒を見る相手のほうがよかったのです。実際、Iさんの家族と彼はよい関係にあり、とても和やかにうまくいっていました。

Iさんにとっては、この占い師の言う「良くない要素」を持っている人のほうが、むしろよかったことになります。

どちらの場合も、占い師が、日本における理想の家庭像や、結婚における主婦として、女性として、男性としての常識的な役割を頭において判断した結果だったのです。その要素を持っていたとしても、「だから結婚には向かない」「だからやめたほうがいい」というような判断はできないのです。

 

「この人とだと苦労します」とは、どういう意味?

占い師に、「この人とだと苦労しますよ」と言われたとします。このときの「苦労」というのも、なにをもって「苦労」と言っているかわかりません。

人によって「苦労」と思える種類は違うからです。「こういうことぼつらい」という要因は、一般的に誰にでも共通しているように思えますが、必ずしもそうではありません。

先はどの「子供はいらない」と思っているカップルにとっては、子供ができにくいことがつらいことにはなりませんでした。経済的な苦労をなによりも嫌に思う人もいれば、人間同士のトラブルが一番ストレスになる人もいます。

もちろん、どの種類の悩みもないほうがいいに決まっていますが、その中でも、どれを一番憂鬱に感じるか、なにを最優先するかは人によって違うのです。

同じ苦労を我慢できる許容範囲も、人によって様々です。ある人にとっては、ちょっと悩む程度で済むことが、人によっては追い詰められるほどに感じる場合もあるのです。

自分が育ってきた環境の影響で、その光景や出来事を見慣れているために、自分にとってはそれほど苦労にならない、ということもあります。逆に、他の人から見ればどうしてなのかわからないことに、苦痛やプレッシャーを感じる場合もあるのです。

「ここから先は苦労になって、ここまでは苦労にならない」という境界線は、はっきりとつけられるものではなく、非常に曖昧です。

ある世界では「これが王道で最高」とされていることでも。別の世界の人から見ればまったくそう思わない、またはその価値すらもわからない、ということがあります。

これは、育ってきた環境、住んでいる地域、学歴、職業、その他いろいろなところで発生している、人間同士の価値観のぶつかり合いです。

極端な例ですが、美術品の世界では素晴らしい逸品でも、価値のわからない人、または興味のない人にとってはただのがらくたにしか思えません。価値がわかる人が素晴らしいのではなく、どこに基準を置いているかだけの違いです。

それぞれが、自分の価値観を最高だと思い、それに沿うような生活をしようとしています。これがエスカレートすれば、その価値観がわからない人を認めることができなかったり、相手にしないようになっていく人もいるはずです(一番理想的なのは、そのような価値観の枠を取っ払った、いい意味での「なんでもあり」の状態ですが、そこまでたどり着いていないからこそ、占いの結果を気にするわけです)。

占い師の中にも、自分の考える「これが最高」という価値観を、相談者に無意識に押しつけて話をする人がたくさんいます。そこに悪気はありません。悪気はなく無意識にしているからこそ、聞く側も、知らない間にその占い師の言葉に縛られていることがあるのです。

あなたの聞く占いの結果は、あくまでその占い師の価値観で解釈された結果です。

一言で「○○である」と言われても、それがどのような意味を含んでいるか、占い師がどこまで話しているか、どこを大事と思って大きく取り上げているかによって、出てくる言葉はまったく違うのです。